"サクラップには凡百の日本語ラップにあって、櫻井さんが(おそらく意識的に)排除している要素がある。それは「ありもしないストリート感覚」です。どういうわけか日本語ラップのパイオニアと言われる人々は往々にして港区や渋谷で生まれ育った上流階級出身の帰国子女などが多い。エミネムの映画などに描かれるような「成り上がりイズム」とは無縁なのです。もともと。だがどういうわけかこの国のヒップホップ史はその点に疑問を挟んでこなかった。「みんないい家に生まれて中学から有名私立出身ジャン。海外に留学に行きたい、と思えばすぐ行けるような層じゃん。なのに成り上がってどうたらとかオカシイよ」という素直な疑問を挟んだのは櫻井さんが最初だと思うのです。この国のヒップホップ史において。アイドルのほうが逆にリアリティを獲得してしまった。そこがサクラップの決定的な個性だと重います。そう考えると櫻井さんは戦後歌謡史における、加山雄三、桑田圭祐、ブレッド&バター、小沢健二といった「ボンボンが人生を謳歌する歌手」の系譜の一番最後に位置する人物なのかもしれません。"
What Does Your Soul Look Like?